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アメリカ

America コロンブスの最初の大西洋航海よりやや遅れてアメリカ大陸沿岸を探検したアメリゴ・ヴェスプッチは,それがアジアとは別の大陸であると主張したので,この大陸は彼の名をとってアメリカと名づけられた。アメリカはメキシコ以北が北アメリカ,地狭地帯およびカリブ諸島を中央アメリカ,その南を南アメリカと区分される。文化的にはヨーロッパのどの国が支配したかにより異なった言語・宗教圏に分かれ,アメリカ合衆国とカナダはアングロアメリカ,メキシコ以南はラテンアメリカに大別でき,前者ではプロテスタント,後者ではカトリック教徒が主流であるが,カナダにはフランス語文化圏があり,英仏二言語を公用語としており,アメリカ合衆国でも近年スペイン語人口が増大している。政治経済的にはアメリカ合衆国とカナダは民主政治が発達し,経済的にも先進地域である。特にアメリカ合衆国は植民者が最も多く来住した北アメリカのイギリス13植民地が独立して発展した国で,20世紀前半にイギリスに代わって世界の中心国となった。他方メキシコ以南の国々は経済的にはいぜん途上国で,民主政治は概して不安定である。アメリカ諸国は近世にヨーロッパ人が征服者,植民者として来住し,先住民は排除されるかその支配下に取り込まれたという共通の歴史を持ち,北アメリカ,カリブ地域,ブラジルには白人植民者がアフリカ人奴隷を導入した歴史があり,アメリカ合衆国では奴隷制の廃止には南北戦争という内戦が必要であった。独立後の移民の受容は,西半球の国は移民に対して開放的で,特に経済先進国であるアメリカとカナダとは多数の移民を受け入れてきた歴史を持ち,現在も受け入れている。移民の流入は,いろいろな意味で両国の社会,文化の特性をつくりあげてきた。移民自身が「アメリカ人」「カナダ人」となる過程,流入する移民に対する受け入れ側の意識の変化,その意識を反映する政府の移民政策など,すべてが両国の特質となっている。18世紀に入国した移民は北・西ヨーロッパ出身者が多かったが,19世紀後半には南・東ヨーロッパからの移民が増加し,20世紀後半以降はアジアからの移民が急増している。入国する移民の変化に従い,両国の社会,文化も重要な変化をみせている。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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