アーダ
慣習,慣行を表すアラビア語。イスラーム法学では特に慣習法をさす。イスラーム初期の征服地では,旧支配地,多くの場合サーサーン朝かビザンツ帝国の法体制が温存された。特に統治・行政面では,ウマイヤ朝は進んだサーサーン朝の制度を積極的に取り入れた。ウマイヤ朝末期から各地でシャリーアの整備が試みられ,アッバース朝期に確立された法学の理論によって,慣習法は正規の法源から除外された。だが,慣習法はシャリーアと明確に抵触しないかぎり有効と認められ,またはシャリーアに適合する形に変更された。イスラームの世界的普及のなかで,特に東南アジアでは,慣習法とシャリーアが混合する独自の法体系(アダット)ができた。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
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