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アシエンダ

hacienda[スペイン],fazenda[ポルトガル] ポルトガル語ではファゼンダという。財産,国庫などの意味があるが,ラテンアメリカ史では,植民地時代以来の大農園をさす。かつては16世紀のエンコミエンダ制から生まれたと考えられたが,現在では,スペイン王室が認めた社会制度としてのエンコミエンダと,私的財産,経営体としてのアシエンダは区別して扱うべきとされる。アシエンダは,基本的には17世紀以後,人口の多い鉱山町や大都会の食料をはじめとする物資の需要を満たすため生まれた。王室の公売その他により確保された広大な土地で農牧業を営み,先住民共同体の労働力に依存し,また地主による家父長支配が特徴であった。19世紀の独立期以後も,先住民共同体や教会などの土地を吸収して拡大し,国際市場向けの商品作物を大量に生産したが,ラテンアメリカ地域の近代化を阻害する要因の一つとして,つねに改革の対象となった。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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