アイルランド
Ireland 元来はケルト系の民族の居住する独立の島国であったが,12世紀にイングランドが侵入して島の大半を占領して服属させた。ヘンリ8世による再征服をへて,エリザベス1世の時期に内部の紛争に乗じて植民地化されたが,その後のアイルランドの歴史に決定的な影響を残したのは,17世紀のピューリタン革命中のクロムウェルによる収奪であった。その結果,支配者であるイングランド人はプロテスタント優位の体制を強制し,不在地主として富を奪い,アイルランド人は極貧の農業労働者として前者に搾取され,カトリックに留まる構造ができあがった。1800年の合同法によってイギリス(連合王国)に併合(1801年)されたが,19世紀には民族主義的な運動が展開し,土地問題,自治問題を中心にして,イギリス政府は対応に追われた。1922年南部26州がアイルランド自由国として事実上独立し,49年イギリス連邦から離れた。北部のアルスター地方は連合王国に留まったが,その独自の社会構造から北アイルランド紛争はいまだ解決には至っていない。73年EC(現EU)に加盟。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
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