中華民国(ちゅうかみんこく)
1912年に建国されたアジア初の共和国。12年から28年にかけては北京政府がこれを代表したが,軍閥同士の戦争があいつぎ,国内は分裂状態にあった。28年以降は北伐を完成させ,国家統一を実現した中華民国国民政府が中華民国を代表した。しかし南京政府指導者である蒋介石(しょうかいせき)の独裁に批判が高まり,反蒋戦争が続発した。蒋は中国国民党による一党独裁体制のもとで国家建設を推進したため,国民党内部と中国共産党などからの強い反発を受け続けた。37年の日中戦争勃発後は重慶に撤退し,連合国の一員として日本に抗戦した。日中戦争中は日本との和平を求めた汪兆銘(おうちょうめい)が,南京で一時中華民国国民政府を名乗る傀儡(かいらい)政権を打ち立てた。重慶国民政府が日中戦争に勝利したのち,中国共産党との対立が深まり,内戦が勃発した。国共内戦に敗北した中華民国政府は,49年12月に台湾に撤退した。中国大陸では,49年10月中華人民共和国が成立し,中華民国の存在は否定されたが,冷戦体制のもと,アメリカなど主要国との外交承認は継続した。71年の国際連合脱退後は承認国が激減し,国際政治上孤立した。88年に成立した李登輝(りとうき)政権以降は,中華民国の名義で台湾の国連復帰運動を展開するなど,自己主張を強めている。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
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