ハザル
Khazar 6~10世紀,カフカース北方の草原地帯にいたトルコ系遊牧民。当初は西突厥(にしとっけつ)に従属していたが7世紀中頃独立し,カガンを長とする国家を建設した。西方のブルガール人を駆逐して黒海北方に勢力を広げ,ビザンツ帝国と友好的関係を築いた。一方アラブとは長く対立を続け,カフカース北方へのイスラームの浸透を妨げた。西欧の研究者のなかには,ピレネーでイスラーム勢力を食い止めたフランクと並んで評価する見方もある。遊牧民主体の国家でありながら都市を建設し,活発に交易を展開した。9世紀初めに支配層はユダヤ教を受容したが,都市にはイスラーム教徒やキリスト教徒の商人が多く在住し,草原の遊牧民は旧来の多神教を保持していたと思われる。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
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