バガヴァッド・ギーター
『マハーバーラタ』の第6巻に挿入された宗教的・哲学的詩編。「崇高な神の歌」を意味し,独立した聖典として扱われる。いとこ間の王位継承をめぐる決戦の直前,親族,友人間の争いに躊躇する英雄アルジュナに,御者のクリシュナが語る。アートマンは永遠不滅で肉体のみが生滅する。死を恐れず,各自の本分を尽くすことが人間の義務であるとアルジュナを鼓舞する。さらにクリシュナは神としての偉大な姿を顕示し,神へのバクティが解脱(げだつ)の最良の道と教える。シャンカラ,ラーマーヌジャなどの思想家が注釈を書きヒンドゥー教思想の源泉となる。独立闘争時代,ガンディー,ティラクなどの行動指針となり,今日でも現代インド諸語に翻訳され,解説され,多くの人々に読まれている。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
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