ベルベル人(ベルベルじん)
Berber モロッコとアルジェリアを中心に北西アフリカ一帯に居住し,ベルベル語を話す民族の総称。カルタゴやローマ帝国の時代にはベルベル人の王国が存在した。アラブ・ムスリムが侵入してくると,しだいにイスラーム化し,11~13世紀にはムラービト朝やムワッヒド朝という大帝国を建国した。アラブ化も徐々に進行し,ベルベル語を話す人々の居住地はしだいに山岳地や砂漠に狭められていった。今日でもモロッコの住民の30%以上(おそらく50%程度),アルジェリアの住民の20~30%がベルベル語を話すが,その多くはアラビア語も理解する。1990年代に入ってから民族意識が強まり,アルジェリアのカビール地方では,国家のアラブ化政策に反対する運動も起こり,またモロッコでもベルベル語の新聞やラジオ放送が認められるようになっている。なお,7世紀に北西アフリカに進出したアラブ人と先住のベルベル人は8世紀初めにイベリア半島を攻略したが,彼らはムーア人(モロ人)と呼ばれた。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
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