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ペルシア

Persia イランの旧称。国名は1935年以降「アーリヤ人の故国」を意味するイランに改称された。ペルシアとは,元来イラン南部に位置するパールス(アラビア語化して現在ファールスと呼ばれる)地方の名に由来し,アケメネス朝の発生地でもあり,ギリシア語に採り入れられて,同朝の都はペルセポリス(ペルシアの都市)と呼ばれた。1957年以降イラン政府は外国語に限り,ペルシアの国名を再び用いることを許可した。国語はペルシア語(ファールシー)であって,イラン語とはいわない。イラン,ペルシアともに同義語として用いられることもあるが,ペルシアの名称は今日ではむしろ文化的連想を起こさせる。例えばペルシア文学,ペルシア美術・芸術,ペルシア絨毯(じゅうたん)などである。イランの名称は新しいものではなくて,サーサーン朝は国名としてエーラーン・シャハル(イランの国)を用いた。それゆえイランは古い語の継続または復活ともいえよう。文化の面においては,ペルシア人はイスラーム文化形成の有力な貢献者として,神学,哲学,言語学,歴史学,地理学,医学,天文学,数学,理化学など諸学の発展に大いなる寄与をした。思想的独創性に富み,古来のゾロアスター教がすたれたのち,イスラームの正統派(スンナ派)をそのまま受容することなくシーア派を採用し,文学面では9世紀後半から15世紀末までに,ペルシア文学の黄金時代が築かれ,幾多の優れた詩人,文人が輩出した。芸術面では建築,陶器,織物,絨毯,絵画,書道,金属器具などにおいて,アケメネス朝の昔から,特にイスラーム期において,豊かな芸術的才能が遺憾なく発揮された。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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