ベトナム戦争(ベトナムせんそう)
Vietnam War[英],Chien Tranh Chong My Cuu Nuoc[ベトナム] ベトナムでは抗米救国戦争という。ベトナムの統一をめざす民族解放運動と,これを共産主義の勢力拡大として阻もうとしたアメリカとの間に発生した戦争。北ベトナム(ベトナム民主共和国),それが支援した南ベトナム解放民族戦線と,アメリカおよびそれが支援した南ベトナム(ベトナム共和国)が対立。1954年のジュネーヴ協定後,南のゴ・ディン・ジエム政権は,アメリカの支援を得て南北統一選挙の実施を拒否。これに反対する勢力が北の支援を得て60年に南ベトナム解放民族戦線を結成。アメリカは61年から軍事顧問団を大量に派遣するなどしたが,63年のジエム政権の崩壊で南の危機が拡大したため,直接の軍事介入を決意し,64年8月のトンキン湾事件をへて,65年2月からは北ベトナム爆撃(北爆)を恒常化し,同年3月には南に戦闘部隊を派兵。北ベトナムも南に正規軍を投入して対抗。北と南の解放戦線は大きな犠牲を強いられたが,68年のテト攻勢などで果敢にアメリカ軍に抵抗し,国際的な反戦運動の高揚などもあって,73年のベトナム和平協定でアメリカ軍撤退を実現。75年の北と解放戦線軍のサイゴン攻略で南のベトナム共和国が崩壊して戦争は終結した。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
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