ヒトラー
Adolf Hitler 1889~1945 ドイツの政治家。オーストリアのブラウナウに生まれ,青年時代をウィーンの貧民街で過ごした。ドイツに移住して第一次世界大戦中は兵士となり,1919年ドイツ労働者党(20年ナチ党に改称)に入り,弁舌の才で頭角を現し,まもなく党の独裁者となった。23年11月,ヒトラー一揆を起こして失敗,1年弱入獄,この間自伝的政論書『わが闘争』を執筆した。出獄後,合法活動によって勢力を拡張し,33年1月首相となり,第三帝国を建設した。景気を振興し,経済建設に成功して,外交上でも成功を重ね,国民の支持を高めた。34年8月以来大統領を兼ねて総統(フューラー)と称し,未曾有の独裁政治をしいて国民生活をナチ化した。東ヨーロッパを征服してドイツ民族の「生存圏」を拡大する目的で第二次世界大戦を勃発させ,ポーランドとソ連の西半を占領し,ユダヤ人を虐殺し(ホロコースト),スラヴ民族に奴隷的強制労働を強い,かつ全ヨーロッパの占領地から物資を無慈悲に略奪した。戦争に敗れ,45年4月末,ベルリン陥落直前に女秘書と結婚してともに自殺した。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
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