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ポルトガル

Portugal イベリア半島西南部に位置する国。環境的には三つの地域に分かれ,それぞれスペインとの地理的連続性を有する。ミニョ川‐ドウロ川間地域を中核とするポルトゥカレ伯領が自立傾向を強め,1143年,ポルトガル王国として成立する。1249年にはレコンキスタを完了,97年のアルカニセス条約で国境線を画定し,ポルトガル語もこの頃公用語とされる。1385年からのアヴィス朝期に海外進出,16世紀前半にはアメリカ,アフリカ,アジアにまたがる海洋帝国を形成。1580~1640年のスペインとの同君連合期に,多くのアジアの拠点を失い,帝国の重心はブラジルに移る。1640年の「再独立」後は対イギリス従属が進行。18世紀後半には啓蒙的改革が試みられるが,19世紀初頭ナポレオン軍の侵入によって大西洋帝国が崩壊。1820年革命によって立憲王政に移行。ブラジルの独立とともに国内は混乱,32~34年には絶対王政派と自由主義派の内戦を経験。19世紀後半には立憲王政のもとで近代化が図られる。1910年の革命によって第一共和政が成立。第一次世界大戦には三国協商側に参戦。26年,軍事クーデタによって第一共和政が崩壊,軍部が招いたサラザルのもとで全体主義的体制が成立する。61年からのアフリカにおける植民地戦争が泥沼化し,74年4月25日に国軍運動によるクーデタが発生,体制が崩壊,植民地を放棄する。民主化と近代化を模索しながら,86年にはスペインとともにヨーロッパ共同体(EC)に加盟,社会資本の整備を進めている。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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