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北方領土問題(ほっぽうりょうどもんだい)

第二次世界大戦中,アメリカはソ連の対日参戦を求め,1945年2月のヤルタ協定によって,日本領である南サハリンの返還,クリル諸島(千島列島)の引き渡しを約束した。ソ連は8月9日参戦したのち,南サハリン,クリル諸島を占領し,46年にこの併合を宣言した。51年のサンフランシスコ講和条約で日本代表はこれら領土への主権の放棄を認めた。放棄しないことを主張したのは歯舞(はぼまい)諸島,色丹(しこたん)島についてであった。その後日本政府はこの条約に調印しなかったソ連との平和条約交渉で,55年8月ソ連が歯舞諸島,色丹島の引き渡しを表明すると,南千島の択捉(えとろふ)島,国後(くなしり)島の返還をも要求するとの態度を表明した。ソ連はこれを認めず,交渉は難航した。56年10月16日,日ソ共同宣言が調印され,国交が樹立されたが,ソ連は平和条約が調印されたのちに,歯舞諸島,色丹島を引き渡すと約束するにとどまった。61年以降日本政府は,改めて4島は固有の領土であり,サンフランシスコ講和条約で放棄したクリル諸島(千島列島)に含まれていないとして,返還を要求し始めた。この4島が北方領土とされる。問題はソ連のペレストロイカによっても解決しなかった。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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