ボッティチェリ
Sandro Botticelli 1444/45~1510 イタリア初期ルネサンスの画家。フィレンツェで生没。フィリッポ・リッピに師事し,ヴェロッキオの工房ともかかわる。ロレンツォ・デ・メディチ支配下のフィレンツェの代表画家として,優美で洗練された装飾的・線的画風で一世を風靡(ふうび)した。メディチ家周辺の人文主義者たちと親交を持ち,「春」や「ヴィーナスの誕生」など異教的主題を手がけるのみならず,聖母子など宗教画も多く描き,甘美かつ抒情的で哀愁を帯びた女性像を創造した。90年代以降,サヴォナローラの宗教的影響を強く受けて,硬質で神秘的な画風へと一変する。フィレンツェの政治的混乱のなか,晩年はダンテの『神曲』挿絵制作に没頭し,不安感に満ちた「神秘の降誕」を最後に画業を絶った。代表作は上記のほかヴァチカンのシスティナ礼拝堂壁画,「東方三博士の礼拝」「ザクロの聖母」「マニフィカートの聖母」など。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
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