邦(ほう)

・〔ドイツ〕ドイツの連邦制を構成する最上位の政治単位。神聖ローマ帝国の崩壊後,領邦国家の国家連合から連邦国家へ移行する形で統一が行われたドイツの1871年憲法は,大部分が君主を戴く25の邦(Staat)の連邦制で各邦の自立的権力を大幅に認めた。ヴァイマル憲法では18に統合された邦はラント(Land,州と訳すのが一般)と呼ばれ,権限を縮小されたものの,なお固有の憲法を有した。しかしナチ時代にはラントを残したまま中央集権化が強行された。第二次世界大戦後,西ドイツでは州(ラント)の連邦制が復活・強化されたが,東ドイツでは州が廃止され,中央集権的県制度に切り替えられた。1990年の東西ドイツ統一に際し,東の州が復活・再編され,現在は16州の連邦制になっている。・〔アメリカ〕アメリカ合衆国を構成するステート(state)はふつう州と訳すが,アメリカ合衆国憲法発効以前のステートは,合衆国憲法のもとにおけるステートに比べて独立性が強かったので,特に区別して邦と訳すこともある。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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