イングランド国教会(イングランドこっきょうかい)
Church of England アングリカン・チャーチともいう。16世紀に宗教改革によって成立したイングランドの国定教会。1534年の国王至上法によってローマ教会から分離して成立。ヘンリ8世の離婚問題という政治的課題が先行したため,当初はカトリックとの教義上の差異がはっきりしなかったが,次のエドワード6世の治世にプロテスタント化が促進され,さらにメアリ1世によるカトリックへの復帰をへて,エリザベス1世の中道政策によって一応の安定を獲得した。主教制をとったことが,他のプロテスタント各派の教会とは異なる。しかし中道なるがゆえに左右からの批判は免れず,ことにピューリタンによる国教会批判は,17世紀にピューリタン革命を引き起こした。王政復古後,審査法などにより体制教会たる地位の保持に努めたが,寛容の気運の増大,社会変動に応じきれない硬直化が,メソディストや福音主義の運動を生んだ。なおスコットランドにおいては,1560年ノックスらによる長老主義の国教会が成立した。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
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