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カール大帝(1世)(カールたいてい(いっせい))

742~814(在位768~814) フランク王国カロリング朝第2代の王。768年父ピピン短躯王(小ピピン)を,弟カルロマンとともに継ぎ,771年単独の王となった。アクイタニアの鎮定から外征を始め,教皇ハドリアヌスの要請で北イタリアへ遠征し,ランゴバルド王国を滅ぼす一方(774年),一貫して東方経略に努力した。特にサクソン人に対しては前後5回以上,30年にわたる戦いののち,これを征服した。787年バイエルンを征服,さらに799~804年にはアヴァル人を破り,ドナウ川中流域まで支配をのばした。他方イベリア半島のイスラーム教徒に対しても兵を進めたが(778年),その帰途のロンスヴォーにおける殿(しんがり)軍の敗北は『ローランの歌』の素材となった。こうして北海から地中海,エルベ川よりピレネー山脈に及ぶフランク帝国の版図が築かれた。800年クリスマスに教皇レオ3世はローマで,彼に西ローマ帝国の帝冠を与えた。これは中絶していた西ローマ帝国の復興を意味していた。彼は国家の地方行政を,各地に配置した伯(コメス)に主として担当させ,さらに巡察使を派遣してこれを査察させた。また多数の勅命を発布したが,それらはカピトゥラリアの名で呼ばれる。彼はまた,学問,文芸の復興にも意を注ぎ,いわゆる「カロリング・ルネサンス」が現出した。皇帝がアーヘンで没した直後から,伝記作者は彼を大帝と呼び,11世紀以降の武勲詩は彼をもって中世君主の理想像とするに至った。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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