カリフ
「代理人」を意味するアラビア語ハリーファの訛り。632年にムハンマドが没し,アブー・バクルがイスラーム共同体の指導者に選ばれたとき,この称号を用い,以来これがムスリム全体の政治的首長の称号となった。スンナ派法学者は,第4代アリーまでと,ウマイヤ朝,アッバース朝のカリフだけを正式と認め,エジプトのアッバース朝(1261~1517)やオスマン帝国のスルタン・カリフ制は認めない。カリフの職責は正しい信仰の維持,シャリーアの施行,ジハードの指導,行政官の任命などであり,資格は,クライシュ族出身の心身健全なムスリム男子であった。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
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