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科挙(かきょ)

隋に始まり清末1905年までの約1300年間,中国の歴代王朝で続けられた官吏登用試験制度。その起源は三国魏から始まる九品中正(きゅうひんちゅうせい)制に求められるが,貴族制度と妥協し門閥偏重に陥る傾向があったので,598年中正官を廃止し,みずからの能力に応じて官吏を志願する道を平等に開くことになった。科挙制は隋唐では不徹底であったが,宋代には地方州の解試(かいし),中央の省試(しょうし),さらに皇帝みずからが臨席する殿試(でんし)の3段階の試験制度が整い,朱子学が科挙に採用されて体制が完成した。明清では科挙のほかに学校制度が合体し,さらに一層の発展をみた。皇帝に代わって徳治政治を代行する官吏は儒教的教養を備えていなければならず,その能力を判定するのがこの制度の目的であったため,この制度には知識が古典に偏重し実務に向かない伝統主義的官僚を輩出する欠点が内在していた。それゆえ清末になり近代改革に適合する人材養成の必要が生じると,しだいにその存在意義を失うことになった。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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