火器(かき)
中国では火薬を兵器に利用した記録は11世紀にあり,焼夷弾(しょういだん)や火炎放射器も発明された。また,元末には本格的な火砲が開発された。イスラーム世界では,火薬を用いる火器の使用はマムルーク朝期(13~14世紀)に始まり,続くオスマン帝国は鉄砲や大砲を組織的に用いて三大陸の征服を推し進めた。ヨーロッパでは,大砲は14世紀ルネサンス時代に登場,主として攻城用に用いられ,封建的地方割拠の打破に貢献した。15世紀末,砲兵科が成立したが,19世紀半ば,後装式施条砲が発明されるまで,大きな進歩はなかった。小銃(火縄銃)の出現は15世紀以降のことであるが,発射速度が遅かったため,ナポレオン戦争後まで,弓や刀槍と並存しなければならなかった。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
この記事が気に入ったらいいね!しよう