銀(ぎん)
洋の東西を問わず古来,金に次ぐ貴金属として,装飾および貨幣として用いられた。16世紀にスペイン人がアメリカ大陸を征服しメキシコや南アメリカに豊富な銀鉱を発見して以来,アメリカ大陸から大量の銀がスペインをへてヨーロッパ諸国に流入し,物価上昇をもたらしたが,ヨーロッパ人のアジア貿易参入とともに,中国にも流入した。日本は近世においては銀の輸出国であった。銀は多数の国で金とともに基本貨幣として用いられたが,19世紀後半にイギリスを中心とする国際通貨体制が発達するとしだいに金本位制に統一された。そのことは銀の国際価格の下落を招き,19世紀後半に銀産出量がふえたアメリカでは,19世紀末には「フリー・シルバー」運動が展開された。20世紀には工業用材料としての銀需要が著しく増大した。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
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