ギルド

gild/guild[英],Gilde[ドイツ],corporation[フランス] 商品経済が発生した11~12世紀から近代資本制生産が成立する18~19世紀までの西欧諸都市において,商工業者間に結成された各種の職業別組合。国内市場の欠如,地方的小商品生産,小規模商品需要に対応する,同業者の共存共栄的団結が本質。それぞれ組合規約とその監督維持機構を有した。特に手工業ギルド(craft gild[英],Zunft[ドイツ])は,組合員の労働時間や製品の品質,規格,製造工程,価格などを厳しく取り決め,自由競争,個人的注文取引,農村での,あるいは非組合員の商品生産などを禁止した。また,徒弟,職人,親方の階層的構成をとった(親方のみが組合員)。都市成立の基礎をなした大商人(遠隔地商人)のギルド(gild merchant[英],Zunft[ドイツ])が,市参事会の主体となって市政を壟断(ろうだん)した。これに対し13~14世紀にツンフト闘争が諸都市に展開され(ことにフランデレン,北イタリア),手工業者,小商人の市政参加が実現した。中世末以降,農村工業の展開に対抗して閉鎖的な特権団体に転化し,しだいに形骸化した。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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