偽疑経(ぎぎきょう)
インドで作成された真経・正経以外の,他の地で作成された疑いがあり,仏説としての由緒,伝来に疑問がある仏教経典。中国の仏典目録(経録(きょうろく))作成者は,漢訳経典から偽経や疑経の摘出と排除に努めた。道安(どうあん)の『綜理衆経(そうりじゅぎょう)目録』にすでに疑経録がある。唐代においては偽疑経の数は膨大になる。偽疑経と判定された経論の多くは『大蔵経』(だいぞうきょう)から除外されて散逸したが,民間で信奉され残ったものも少なくない。チベットでは『死者の書』などの埋蔵経(テルマ)がその例に含まれる。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
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