ゴシック
Gothic 12世紀前半フランスのイル・ド・フランス地方で,ロマネスク様式の延長上に生まれた建築様式の呼び名。ゴシック建築は,大きな窓から光の差し入る明るい堂内,入念に積み上げられたヴォールト(曲面天井),聳(そび)え立つ尖頭など,ロマネスク建築とは外見上大きな違いが感じられるが,技術的進歩からいえば,その差は小さなものであった。第一に「交差リブ(オジーヴ)」で,ヴォールト天井を斜めに交差する対角線上にさらに補強の石材を付した。第二の「オジーヴ横断アーチ」は壁付きアーチに直交するアーチで,ヴォールト天井の分解,横圧力の分散を可能にした。第三は「フライイング・バットレス」で,天井の重量の生み出す壁への横圧力を,身廊外部に付けられたアーチおよび控壁に導いて分散させて支える方法であった。ゴシックは,フランスのアミアン大聖堂やランス大聖堂,ドイツのケルン大聖堂やウルム大聖堂など,都市の中心に聳える司教座聖堂に幾多の傑作を残している。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
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