江南(こうなん)
Jiangnan 言葉の意味は長江以南の地域をさすが,狭義には江蘇省の蘇州,松江,常州,浙江(せっこう)省の嘉興(かこう),湖州の五つの府を中心とする長江下流域の三角州地帯をいう。後漢末から三国時代にかけて華北から移住者が急増し,水田開発が開始された。宋代からは_田(うでん),囲田,湖田など,湿地帯を堤防で囲んで干拓する新田開発が普及した結果,「蘇湖熟すれば天下足る」という俗諺(ぞくげん)に象徴されるように,この地域が中国でも有数の穀倉地帯に成長した。明清時代には手工業生産が盛んとなり,商業化・都市化が進んで経済的先進地域としての地位を堅持した。近代になるとその中心は上海に移ったが,現在もなお改革・開放経済発展の中心的地域としての役割を担っている。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
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