考証学(こうしょうがく)
清代に発達した学問。儒教の古典である経書の究明において,確実な文献に典拠を求めるもので,自己の見解によって解釈する宋学と対立する。特に漢代の学者の説を重んじたので漢学ともいう。明末に顧炎武(こえんぶ)や黄宗羲(こうそうぎ)は,空理をもてあそぶ陽明学の末流に対して経世実用の学を唱えたが,その実証的研究法は清代になると発達し,文献学として乾隆(けんりゅう)・嘉慶(かけい)年間に全盛をきわめ,恵棟(けいとう)や戴震(たいしん)によって大成された。考証学から歴史学,地理学,書誌学,音韻学などが分化,発達し,中国の古典や文化の科学的研究に大きな貢献をしたが,清朝の厳重な思想統制により本来の経世実用の面は失われた。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
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