1. 用語
  2. 世界史 -く-
  3. 軍閥(ぐんばつ)

軍閥(ぐんばつ)

軍人の私的集団をいう。中国においては藩鎮(はんちん)などを便宜的に軍閥と呼ぶこともあるが,ふつうは清末から民国初期にかけて存在した武力集団をいう。清朝の武力的基盤である八旗,緑営が腐敗し無力化すると,地主,郷紳(きょうしん)層は自衛のため武装化を図った。その代表的なものは湘軍(しょうぐん),淮軍(わいぐん)などで,これは独立化の傾向を内在したが,清朝の軍事的支柱となった。最初の本格的軍閥は,袁世凱(えんせいがい)の率いる北洋軍閥であった。彼は新式陸軍を建設し,これを私有化し,辛亥(しんがい)革命が起こると,これによって清朝,孫文に対する取引を有利にし,最初の大総統となり,軍事面だけでなく政治面でも独裁的権力をふるった。彼の死後,政権,軍権は旧部下の安徽(あんき)派,直隷派に引き継がれ,この時期(1920~24年)が北洋軍閥の全盛期であった。24年東北軍閥張作霖(ちょうさくりん)が北京政府を支配したが,国民革命の進展は北洋軍閥を窮地に追い込んだ。一方蒋介石(しょうかいせき)を中心とする国民党軍は,革命勢力の発展をおそれて地主,買_(ばいべん)資本家層と妥協してみずから軍閥化し,北洋軍閥および国民革命軍に投じた地方軍閥を傘下に収めた。軍閥の経済的基盤は,中華人民共和国の成立により一掃された。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

この記事が気に入ったらいいね!しよう