曼荼羅(まんだら)
サンスクリット語マンダラの音写。曼陀羅とも書く。原義は円形または方形の神聖な壇。大日如来(だいにちにょらい)を中心にした諸仏,諸菩薩(ぼさつ),明王(みょうおう)ほかを配置した図柄によって宇宙の本質的真理,仏の悟りの境地を示し,密教の世界観を表現する。瞑想(めいそう),観法(かんぽう)の手段に用い,壁に掛けたり,床に敷いた道場で密教修法や儀式が実践される。『金剛頂経』(こんごうちょうきょう)系の金剛界曼荼羅と『大日経』系の胎蔵界(たいぞうかい)曼荼羅が両部(両界)曼荼羅として重要である。チベット,ネパールにおいては多様なマンダラが発達し,色つきの砂マンダラが密教儀式に彩りを加える。持ち物で諸尊を表す三昧耶(さまや)曼荼羅,種子(しゅうじ)(梵字(ぼんじ))による法曼荼羅,特定の一尊のみを描いた別尊(べつそん)曼荼羅,また密教以外の阿弥陀浄土(あみだじょうど)曼荼羅や,垂迹(すいじゃく)曼荼羅などがある。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
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