民族自決(みんぞくじけつ)
Self-Determination 民族はそれぞれ政治的に独立し,みずからの政府を決定する権利を持つとする原則のこと。第一次世界大戦末期にウィルソンの「十四カ条」などで提唱され,ヴェルサイユ条約で適用された。だが,同条約でこの原則が適用されたのはヨーロッパ内部に限定され,植民地体制下のアジア,アフリカ諸地域に適用されるようになったのは第二次世界大戦後である。1945年の国連憲章や66年の国際人権規約にも盛り込まれ,現在では植民地支配や他民族による圧迫に対する抵抗の原理として,国際法上の基本的権利の一つとみなされる。しかし,キプロス問題やユーゴスラヴィア内戦にみられるように,分離独立を正当化するためにこの原則が用いられる可能性もあり,これを一律に適用することには批判もある。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
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