民主主義(みんしゅしゅぎ)
democracy 語源となったdemokratiaはギリシア語のdemo(人民)とkratia(権力)をつないだもの。すなわち権力が一人や少数にある君主政や貴族政とは異なり,広く人民のもとにあることをさした。ただし古代ギリシア,ローマまた中世の都市国家においては,「人民」の範囲は身分や財産などによって制限され,女性は含まれていなかった。その制限を広げて,民主主義の内実化が図られたのは,近代ヨーロッパにおいてであった。そのためには,基本的人権を主張する自然権思想を基礎にして,統治に関する社会契約説,さらには三権分立論などが出現するのを待たねばならず,アメリカの独立,フランス革命はそうした思想を武器に民主主義の実現をめざした。この成果を受けて統治形態においても君主政から主権在民の共和政への転換が生まれ,また君主政を維持した国においては国民主権を機能させるために,立憲君主制(政)のもとで議院内閣制がつくられた。これらいずれにおいても議会制度が民主主義の根幹におかれたが,議員選挙による間接民主主義のもつ限界を批判して,直接参加型の民主主義の主張も強くなっている。ただし,直接参加型民主主義は地域社会を単位とするものに限られているのが現状である。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
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