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ミャンマー(ビルマ)

Myanmar (Burma)イラワジ川流域地方の呼称。11世紀以来この地に覇権を確立した民族名に由来。それ以前は,中国によって驃(ピユー)と呼ばれた。南の海岸部や,東,北,西の地域およびマレー半島部に伸びるタニンダーイー地方は年間2000~5000mmの降雨があるが,中央部は500~900mmで,東南アジアでは稀な寡雨地帯となっている。19世紀まで政治権力の中心地は中央部に存在し,乾燥地の特産物(綿など)を東南アジア大陸部諸国に輸出した。この地に成立した王権は主として仏教思想にもとづき,自己の正統化を図ってきた。仏塔に対する信仰が篤く,イラワジ川流域地方の景観を特異なものにしている。北西には中国へ至るルートが古くから開けていたこともあり,18世紀後半から西欧列強の注目するところとなり,19世紀にはイギリスの植民地となって,政治経済の中心が沿岸部湿潤地に移った。植民地下では南部デルタの稲田開発が進み,領域の経済構造が稲作を中心に再編された。1942年から45年にかけて日本軍政下に入り,48年に独立。その後社会主義路線を志向するが,共産党や少数民族などの反乱により政治的混乱に陥り,62年以降は軍事政権の支配下にある。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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