身分制議会(みぶんせいぎかい)
身分別議会,等族会議とも呼ばれる(イギリスにはこの概念はない)。中世後・末期のイングランド議会,フランスの全国三部会(1302~1614年)と地方三部会(14~15世紀),ドイツ諸領邦の領邦議会,カスティリャ,アラゴンのコルテス,ロシアのゼムスキー・サボール(16~17世紀)など,一般に絶対王政に先行して形成された国制的合議機関。近代的国民議会と異なり,ふつう高位聖職者,高級貴族,都市代表者により構成され,国王の必要に応じて開催,国王課税の協賛を主要機能とした。国内行政,外交問題の諮問にも参与したが,立法機能はイングランドを除き薄弱で,請願にとどまった。絶対王政期に入り全国的行政機構,租税収取体系の形成とともに変質,衰退ないし消滅した。身分制議会は国王と一見協約関係に立つが,独立の権力主体ではなく,議会の開催・運営権は原則として国王側に掌握され,その制度的前身である封建会議とは機能的に異質である。それは商品経済の展開による市民層の台頭,封建貴族権力の弱体化と権力の国家的一元化の状況に対応して形成された。聖俗封建貴族を新たに「地方」の農村代表に転化させて,錯雑した封関係の整序による全国統一を促進し,絶対主義国家を準備した。ドイツではこの時代の国家を身分制国家と呼んでいる。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
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