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日清戦争(にっしんせんそう)

朝鮮の支配を争っていた日本と清国との戦争(1894年8月~95年4月)。早くから朝鮮への進出を企てていた日本が,1876年,清国の宗主権を無視して朝鮮を開国させてから,朝鮮に対する指導権をめぐる日清間の競争が激化した。だが82年の壬午(じんご)政変,84年の甲申(こうしん)政変をへて,清国は,朝鮮政府を完全に支配して宗属関係を再建し,日本の進出を押えた。日本は85年,清国と天津条約を結び,両国の朝鮮からの撤兵,将来派兵する場合には相互に通告するなどを約束させたが,朝鮮における清国の優位を動かすことはできなかった。94年4月,甲午(こうご)農民戦争が起こると,朝鮮政府は自力でこれを鎮定できず,清国に援兵を要請したので,清国はただちに派兵した。日本もこれに対抗して条約上の権利を口実に出兵し,優勢な兵力をもっていち早く王宮を占領し,朝鮮政府に迫って,清国との宗属関係を破棄させ,清国軍隊の撤退を日本に一任させた。日本は8月1日に正式に清国に宣戦を布告し,9月に平壌(ピョンヤン)で清国陸軍を破り,黄海(こうかい)海戦で北洋艦隊を破って早くも勝利を決定的にした。さらに陸軍は満洲に侵入して遼東半島から遼西に進撃し,海軍は威海衛(いかいえい)を占領して北洋艦隊を壊滅させた。この連戦連敗によって清国は講和を決意した。95年2月から広島で講和会議が開かれたが決裂し,3月から下関で再開され,清国は日本の要求をすべて承認して,4月17日講和条約に調印した。これによって日本は,朝鮮が完全な独立国であることを承認させ,遼東半島,台湾,澎湖(ほうこ)列島の割譲,賠償金2億両の支払いなどを認めさせた。遼東半島は三国干渉にあって放棄を余儀なくされたが,この戦勝によって日本の国際的地位は著しく向上した。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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