農民一揆(のうみんいっき)
支配者や領主に対する農民の反乱は歴史上数知れないが,古代などの奴隷反乱を別にすると,農民一揆にはいくつかの特徴が見出せる。農民一揆には,まず領主の賦課租などの苛斂誅求(かれんちゅうきゅう)に対する反抗がある。また中世末期以降には,中央集権化を推し進める国家権力に対する課税反対一揆が頻発する。フランスのジャックリーの乱(1358年),イギリスの1381年の乱(タイラーの一揆)がそうであるし,ドイツ農民戦争(1524~25年)も中央集権的な領邦支配に対する反抗という側面を色濃く持っていた。一揆の基盤には村落共同体があり,一味同心的な連帯心性が取り結ばれていた。そこでは,村落における慣習的秩序の維持が求められたほか,千年王国的な宗教的色彩や19世紀アジアにおけるように民族主義的傾向を帯びることもあった。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
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