歴史哲学(れきしてつがく)
歴史の意味,目的についての哲学的省察。アウグスティヌスやヴィーコにすでにみられるが,「歴史哲学」の語はヴォルテールに由来する。近代では特にドイツで発展,ヘーゲルにおいては歴史は自由実現の過程であると同時に絶対精神の自己展開であるとされ,マルクスは歴史は階級闘争の過程であり,社会主義革命により無階級社会が実現されるとした。ヨーロッパの歴史哲学にはキリスト教的救済論の色彩が強いが,イスラーム世界にはイブン・ハルドゥーンの社会哲学的・文明論的歴史哲学がある。なおヴィンデルバント,リッケルトなど19世紀末ドイツの「新カント派」の哲学者たちは,法則定立的な自然科学に対し,歴史学は個性記述的であるとして,歴史学の独自性を主張,歴史主義の哲学的基礎づけを行った。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
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