三反・五反運動(さんはん・ごはんうんどう)
三反運動は中国共産党党内の腐敗防止キャンペーン。共産党が政権を獲得したのに伴い,幹部の腐敗や規律の乱れが増大。党中央は1951年末に「三反」(汚職,浪費と官僚主義への反対)運動を推進し,腐敗を取り除き,綱紀粛正を図ろうとした。だが,党内規定と法律に依拠するのではなく,高圧的手段を使ったために,無実の幹部まで傷つけた。五反運動は,私営企業を対象とする違法経営摘発のキャンペーン。三反運動で,汚職事件の一部に私営工商業の経営者が関連したことがわかると,党中央は1952年に「五反」(贈賄,脱税,国家資材の横領,手抜きと材料のごまかし,国家の経済情報の窃取(せっしゅ)に対する反対)運動を推進。各地方当局は私営企業に幹部を送り込み,労働者,職員を動員して経営者の経済犯罪,違法経営の摘発を進めた。それによって,多くの私営企業は経営管理が混乱し,「不法取得」の国への返還も経営を圧迫し,再び政府の救済措置に頼って生き残りを図らざるをえなかった。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
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