サハラ
Sahara アフリカ大陸北部の世界最大の砂漠。アフリカ大陸の3分の1を占め,北アフリカ(マグリブ)とサハラ以南のアフリカ(ブラック〈黒人〉アフリカ)の境界となっている。現在の砂漠も4500年前までは草原が広がり,アルジェリア東部のタッシリ・ナジェール遺跡の岩絵などに往時をしのぶことができる。乾燥化したサハラでは,紀元前後に導入されたラクダが4世紀に普及し,さらに北アフリカがイスラーム世界に編入されると交易が活発化した。北アフリカの先住民ベルベル人を中心とする商人が,ラクダの隊商でオアシス都市を結節点として縦横に広がる交易網で活躍した。なかでもサハラ北部のタガザなどの岩塩とニジェール川流域に産出する金を交換する交易が重要で,ガーナ王国,マリ帝国,ソンガイ帝国などの成立も,この交易路を支配して力を蓄えたためである。イスラームもこの交易網を経由して西アフリカに伝播した。1890年代にはフランスが軍事的・政治的進出を図り,サハラ砂漠一帯を植民地化した。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
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