砂糖(さとう)
サトウキビを原料とする砂糖生産は,原産地のインドあるいは東南アジアから中国をへて,17世紀初め頃琉球(りゅうきゅう)に伝わった。一方インド以西の砂糖生産は,7世紀初め頃にイラン,イラクの低地に導入され,8世紀にはエジプトでもサトウキビ栽培が開始された。10世紀以降,イスラーム世界の砂糖(スッカル)はヨーロッパ向けの重要な輸出商品となり,その消費の拡大につれてシュガーの呼称が定着した。イスラーム世界の製糖技術は,大西洋を越えて西インド諸島や南アメリカに伝えられ,16世紀以降,黒人奴隷を用いた砂糖プランテーションが行われるようになると,ヨーロッパでは砂糖入りのコーヒーや紅茶を楽しむ習慣が定着した。ヨーロッパなど冷涼な地域でビート(砂糖大根)を原料とする砂糖生産が開始されるのは,18世紀以後のことである。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
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