人民公社(じんみんこうしゃ)
1958年に設置された中国の農村基層組織。82年に廃止が決定された。1950年代の中国で進められた農業集団化の過程で,58年の大躍進期に高級生産合作社を統合して農村に設けられたのが人民公社である。その特徴は,農業生産組織であるばかりでなく,流通,分配の主体をもなす社会組織であり,また郷(ごう),鎮(ちん)の行政事務を管理する政社合一の組織でもあったことである。さらにその内部組織は,生産隊を基本採算単位とし,公社,生産大隊,生産隊からなる三級所有制をとった。しかしこうした公社内では農工業生産力は停滞し,社員の生活水準も低いレベルに止まっていた。そこで70年代後半安徽(あんき)省で戸別農家請負制が導入されるや,人民公社は急速に解体していった。そして82年憲法によって人民公社の廃止が決定され,農村の行政機能は郷人民政府が持つこととなり,農業生産は農家の単独経営に任されるようになった。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
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