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清仏戦争(しんふつせんそう)

ベトナムの支配権をめぐる,清国とフランスとの1884年7月~85年6月の戦争。ベトナムは清国と藩属関係にあったが,フランスは38年のフランス人宣教師殺害および57年のスペイン人宣教師殺害を理由に,スペインと連合して58年からベトナム侵略を始めた。62年,第1次サイゴン条約を結んでコーチシナ南部3省を奪い,さらに74年,第2次サイゴン条約を結んでベトナムを保護国にした。その後清国の抗議によって,82年フランスはいったん保護権を取り消し,ベトナムの独立を認めたが,83年には一転して遠征軍を増派してベトナム政府に迫り,アルマン条約を結んでフランスの保護権を承認させ,さらにトンキンの武力占領を企てた。これに対して清国は積極的な対抗手段をとらず,84年5月には清国の譲歩によって妥協の動きもあったが,6月国境付近で清仏両軍の衝突が起きた。フランスはこれを清国に対する開戦の口実とし,海軍をもって台湾,福州を攻撃したので,9月清国も宣戦を布告した。清国はフランス海軍に台湾を封鎖され,澎湖(ほうこ)諸島を占領されたが,広西から進出した清軍は善戦してしばしばフランス軍を破った。しかし,85年1月からイギリスの調停によって講和交渉が進められ,6月,李鴻章(りこうしょう)とフランス全権パトノートルの間で天津条約が調印された。この条約で,清国はベトナムに対する宗主権を放棄してフランスの保護権を認め,さらに清国南部数省における通商,鉄道建設に関する特権をフランスに与えた。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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