叙任権闘争(じょにんけんとうそう)
Investiturstreit 11~12世紀に高位聖職者の叙任権をめぐり,教皇とヨーロッパの諸君主,特にドイツ皇帝との間に生じた争い。司教,修道院長などが土地寄進などにより大領主となるにしたがって,その職とそれに付属する世俗財産とは一体のものと考えられるようになった。その財産の大部分が封土であったため,聖職候補者は世俗君主からこれを受けることになり,同時に司教職もそれぞれの象徴物(牧杖と十字架,司教指輪)によって授与されるに至った。この慣習に対して教会の自由と世俗君主からの解放を求めた教皇グレゴリウス7世が,1074年以降世俗権力による聖職者の叙任を聖職売買として禁止し,付属財産授与権も教会に要求するに至った。このため,神聖ローマ皇帝ハインリヒ4世らとの間に激しい争いが生じた(カノッサの屈辱)。この争いはその後の諸教皇と皇帝との間にも続いたが,1122年ヴォルムス協約により一応の解決に達した。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
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