植民市(しょくみんし)
apoikia[ギリシア],colonia[ラテン] 古代ギリシア・ローマ世界の拡大は,植民市(アポイキア,コロニア)建設を中核に行われた。前8世紀中葉から約200年にわたる,ギリシア人の地中海・黒海沿岸への多数の植民は,多く土地所有を目的とする新しい独立のポリスの建設の形で進められた。前5~前4世紀のアテネの植民は,主として市民権を保持したままでの入植であった。ヘレニズム時代にオリエントにできた多数のギリシア都市は,軍事的・経済的要地に立てられ,ヘレニズム文化の中核をなしたが,入植者が政治的共同体をつくるものではなかった。ローマでは前4世紀以後,国境付近に市民たる屯田兵を入植させ,ローマの勢力拡大につれて,この種の植民市がイタリア半島以外にも多数つくられてローマ文化普及の担い手となった。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
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