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上座仏教(じょうざぶっきょう)

大乗仏教に先行する保守主義の仏教。教団内の指導的な長老を「上座」と呼ぶことからの命名。かつての呼称「小乗(ヒーナヤーナ)」は,大乗側からの「自利のみを図る劣乗」という軽蔑を意味したため,現在は使用されることが少ない。仏滅約100年後に戒律の守り方をめぐって上座部と大衆部(だいしゅぶ)の根本二部派に分裂し,さらにさまざまな分派(枝末十八部)ができた。どの分派でも僧侶が中心になり,仏の教えや規律を伝えて解釈する独自の聖典を編纂し,在家(ざいけ)の信者の帰依(きえ)を受けながら修行に励む独自の教団を形成した。時代的には西暦前後に興起した大乗仏教に先行し,説一切有部(せついっさいうぶ)や犢子部(とくしぶ)などの部派別に保持されたことから,「部派仏教」とも呼ばれる仏教の形態である。現代において地域的にスリランカ,ミャンマー,タイ,ラオス,カンボジアなどの南方アジア諸国に復興され,保持されている仏教伝統をさすときは「南方仏教(Southern Buddhism)」と呼ばれることが多い。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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