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修道院(しゅうどういん)

monastery 共同生活によって修行する修道士,修道女の集まり。自己の救霊と完徳を願う者の修道の場という広い意味では,仏教,ヒンドゥー教,ユダヤ教にも存在するが,キリスト教ではエジプトのアントニウス(251~356)やパコミウス(290~346)が創始者とされる。東方ではバシレイオス(329~379)やテオドルス(769~826)の戒律が基準となり,西欧ではアタナシウス,マルティヌス,コルンバヌスらが各地に伝えるが,西ヨーロッパ独自の永続的な基本形態を確立するのはモンテ・カッシーノの修道院長ベネディクトゥスである。清貧,貞潔,服従の3徳目を誓願し,定められた聖務日課を遵守しつつ自活する修道士はここで,ヴィヴァリウス修道院,ザンクト・ガレン修道院,フルダ修道院にみられるように,伝道,芸文,経済活動の第一級の担い手となる。10世紀の政治的混迷のなかで,ゴルツェやクリュニー修道院運動は聖俗両界を刷新して西ヨーロッパ社会を覚醒させるが,11世紀末からシトー修道会はほぼ全ヨーロッパに盛んな農業活動を展開して,つづくプレモントレ修道会などの模範となる。13世紀に出現するフランチェスコ修道会,ドミニコ修道会では,托鉢(たくはつ)修道会の移動説教活動のため修道院の意義は後退するが,異端との闘いや学問研究に長く消えざる功績を残した。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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