ジェンダー
gender もともとは言語学の用語で名詞を性別し分類する文法上の性差を意味していたが,第2波フェミニズム以降,社会的・文化的に構築されてきた性差をさす。『ジェンダーと歴史学』の著者ジョーン・スコットの定義「肉体的差異に意味を付与する知」が知られている。性差は所与のものではなく言語を通じて構築されてきたし,逆に社会や文化もジェンダーを通じて再編成されてきたという前提に立つ。こうした認識により,従来の歴史叙述は人間(=男)の歴史であっただけでなく,ジェンダーに無頓着な叙述も含めて歴史叙述それ自体が男中心の社会や文化の形成に加担してきたことが意識され始めている。また女の「従属と抑圧」を再確認してきた「女性史」の叙述も同様に再検討が迫られている。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
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