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タントリズム

Tantrism 6~7世紀頃から,仏教を含めたインドの諸宗教にみられる宗教的潮流の総称。仏教ではこれを密教と呼ぶ。儀礼化された教義の実践を通じて解脱(げだつ)や超自然的能力が獲得されると説く。教義と儀礼は,シヴァ派ではアーガマ,ヴィシュヌ派ではサンヒター,シャークタ派ではタントラと総称される文献に説かれている。インド学の初期に,タントラ文献が最初に知られたためにタントリズムという概念が生まれた。特定の師の指導により儀礼実践の資格を得るディークシャー(密教の灌頂(かんじょう))の儀礼が最も重要。すべての儀礼でマントラ(真言(しんごん))と呼ばれる聖句が用いられる。初期のタントリズムでは性的儀礼や死体を用いた儀礼が行われたと考えられるが,13世紀頃から象徴的に解釈された。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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