ダリト

dalit/dalita インド社会において4ヴァルナの枠組みの外に置かれた被差別民。穢れた存在として社会の最下層に位置づけられていた。ダリトは虐げられたものを意味する自称で,1950年代からの被差別民自身による急進的解放運動によって広まった。すでに前6~前5世紀の文献にチャンダーラなどと呼ばれる賤民層がみられるが,不可触民(アスプリシュヤ)という身分概念が確立したのは4~7世紀頃になってからである。彼らは多数のカーストからなり,各カーストは賤業視された皮革加工,清掃,屠殺などに従事したほか,兵士や門番などの役割を果たすものもあり,農業労働や雑役も行った。19世紀半ば頃からは被差別民の地位向上運動が行われた。ガンディーは彼らをハリジャン(神の子)と呼び,不可触制の撤廃をめざした。一方,被差別民出身のアンベードカルはより徹底的なカースト批判をし,仏教改宗運動を指導した。1950年施行のインド憲法において不可触制は禁止され,また指定カーストとしての優遇措置が与えられている。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

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