1. 用語
  2. 世界史 -た-
  3. 太平天国(たいへいてんごく)

太平天国(たいへいてんごく)

Taipingtianguo 1851~64 清末,上帝会の教主洪秀全(こうしゅうぜん)が,1851年1月広西省桂平県金田村で創建した政権。湖南,湖北をへて長江流域に進出し,53年3月南京を占領し,ここを首都として清朝に抗戦し,64年滅亡した。粤匪(えっび),長髪賊とも称された。洪秀全はキリスト教からヒントを得てみずから上帝(エホバ)の次子,キリストの弟と称し,儒教や偶像崇拝を厳しく排斥して,独特の上帝信仰と天国思想を創案した。馮雲山(ふううんざん)とともに広西省で伝道に成功し,47年上帝会を組織した。会員の多くは客家(ハッカ)の貧農層で,指導者は客家出身の下層読書人,土豪,焼炭工などであった。太平天国が湖南へ進出してからのちは,各地の会党,流民や貧農が大挙して参加したが,中心勢力はやはり客家であり,その指導権はゆるがなかった。太平天国は人間平等の観念から,政治上・経済上の平等主義を掲げ,貧民層をひきつけることには成功したが,儒教の排斥,伝統文化の破壊を事として,極端な信仰を強制し,また一般民衆に対する殺戮や略奪をほしいままにしたため,読書人・地主層の指導下に結集された湘軍(しょうぐん)や淮軍(わいぐん)などの保守勢力に討伐された。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)

この記事が気に入ったらいいね!しよう