傭兵(ようへい)
mercenary 報酬契約によって雇われた軍人集団。初期の例としては,古代ギリシアの都市国家がペロポネソス戦争の際に傭兵を用いている。中世後期以降のヨーロッパでは,戦争の規模の拡大と長期化につれて傭兵の需要が高まり,百年戦争をへて15~16世紀に最も重用された。しかし傭兵は規律の維持が困難で,三十年戦争の災禍は傭兵に帰されることが多い。戦闘技術は高いが忠誠心が薄く,国家防衛の要にはならないとされ,絶対主義から市民革命の時代に常備軍が国民軍として形成されると,しだいに無用化した。ただし,その後も帝国主義諸国が植民地の治安維持に用いている。ドイツ,イタリア,スイスなどが多くの傭兵を送り出し,特にスイス人傭兵は契約に忠実と評判が高かった。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
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