ユンカー
Junker ドイツのエルベ川以東の地に多く存在した大地主貴族のことをいう。この地は元来ドイツ人の植民した所で大所領をもつ領主が多かったが,15世紀以降商業が発達すると領主は穀物商業により利益を得,周囲の農民の土地を合併して領地を拡大,グーツヘルシャフトを発展させた。またのちには領内に,てん菜や火酒などの工業をも経営した。このように有力な経済的地盤を持つユンカーは地方政治を掌握し,また18世紀以来プロイセン国家の上級官吏や軍人も独占した。この形勢は封建的領主支配が終わった19世紀においても変わらず,ドイツの主要政治家,軍人にはユンカー出身者の割合がきわめて大きかった。ヴァイマル共和国期においてその勢力は減じたが,なお有力な力をもち,ナチスの政権掌握にあずかって力があった。第二次世界大戦後はまったく消滅した。 (山川 世界史小辞典(改訂新版), 2011年, 山川出版社)
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